看護は常に社会の変化に伴って進歩し、そして発展するもの(できれば)です。看護の変革を恐れることは、病気を背負って生きる人々の立場にたっている看護者の姿勢とは言いがたいでしょう。
看護診断は、それまで個々のナースの自分流で行なってきた「看護ケア」を明確化し、看護ケアの視点を共通用語として、ナース間で患者さんの看護問題状態を認識できるようになります。
看護診断という言葉は、1970年代以降、国内で出版されたいくつかの書籍のなかにも記述がみられますが、1990年代の初め、松木光子先生(当時大阪大学医学部)によって結成された「看護診断研究会」が土台となって、日本で看護診断の学術組織ができました。
それから二十数年もの歳月がたちますが、果たして臨床での看護実践(患者さんの看護ケア)で、看護問題を診断して看護療法を行うという、効果的な成果を成し得たのでしょうか?
本研究会は、病気に苦悩し「よく生きる」ことを見失った患者さんに、看護という「知と技」をもって幸福感を取り戻していただけるような活動ができることを願って、臨床ナースの方々により良い情報と会員相互の研鑽の場をご提供します。
臨床看護はいつも「知と技」の訓練です。
スポーツマンや舞踊家が日々のトレーニングを怠ると肉体は衰え、技は後退するといわれます。それと同じように私たちも日々鍛錬を重ねませんか。
●看護アセスメントと看護診断の関係
看護過程で用いる「アセスメント」という用語は、患者の症状・徴候(この場合は看護問題に限定する。医学問題での病気の症状などではない)を観察して、問題域であるのか、そうでないのか、問題域であれば、それはどの程度ないのか等)を判断する段階です。このとき、観察を行うナースの脳裏には、既にいくつかの看護診断を推論しようとする指向が始まっています。つまり、そのナースは、臨床看護に必要な「看護診断」の症状・徴候を解って、アセスメントを行っています。
このように考えると、看護過程での必須なものは「看護診断」です。看護診断をするために「アセスメント」で、フィジカルアセスメント、看護面接でのメンタルアセスメントを行うのです。看護診断を確定して後は「看護計画」と「実施」のステップが始まりますが、私たちの研究会は、看護診断のための看護アセスメント能力向上のために研究するいうのが究極の目的です。